水資源の外資買収、広がる警戒 13道県条例制定・検討
(朝日新聞 2012/12/25)
外国資本の森林買収に危機感が高まる中、水資源保護を目的に土地買収の監視を強める条例を4道県が制定し、9県が検討していることが分かった。ただ、実際に水資源目的の買収を確認した自治体は一つもない。
日本の企業や不動産が中国資本に次々買収され、国内で中国の経済力への不安が強まる中、森林の地下水も奪われて枯渇するのではないかという危機感が政界やメディアで広がったのは約3年前のことだ。
「中国、日本の水源地物色?」「北海道の森林が香港に買われた」などの報道が相次ぎ、2010年には林野庁が外資による森林買収を約30件確認したと発表した。 
外資による森林買収と条例制定の状況
北海道が今年3月に全国で初めて条例を成立させ、埼玉、群馬、茨城3県が続いた。いずれも水源地域の土地売買の事前届け出を国内外問わず義務づけ、違反して是正勧告に従わなければ企業や個人名を公表する内容。上田清司・埼玉県知事は「外資による取得に制限がかかる」としている。
今後、条例制定を検討しているのは山形、山梨、長野、富山、石川、福井、岐阜、徳島、高知の9県。富山、石川の担当課は8月の取材では検討していないとしたが、その後、それぞれの知事が検討を表明した。
朝日新聞が47都道府県に取材したところ、8道県で1234ヘクタールの森林が外資に買われ、8割以上が北海道だった。中国資本の買収は408ヘクタールで、そのほとんどは香港資本。
しかし水資源目的の買収は一件も確認されておらず、大半は資産保有や転売が目的だった。
条例を制定・検討している13道県のうち9県は外資の森林買収自体を県内で一件も確認していない。
「国土」や「領土」を守る政治的姿勢が実態より先行している側面もある。 
領土や水資源の問題を巡る動き
■未確認でも条例、規制先行
条例で水資源を守ろうという動きは北海道から始まった。
「日本の森林が外国資本に買収されているようだ。実態を調べてくれ」
自民党の小野寺秀道議が条例制定に動いた契機は2008年、地元・帯広市の大物政治家、故中川昭一元財務相の一言だった。
中川氏は直前まで自民党の「水の安全保障に関する特命委員会」の委員長だった。中国資本などが水資源目当てに森林を買っているとの情報に、強く懸念を抱いていたという。
小野寺氏は10年春、香港資本が道央の森林57ヘクタールを買収した事案をつかみ、道森林計画課に示した。道は「外資の買収は確認していない」としていたが、本格調査に着手し、この年の秋には外資が森林を買収した事例を33件確認した。
小野寺氏は「水資源保護や安全保障の観点から規制が必要」と主張。道は「安全保障は国の役割だが、水資源については道民も不安を感じている」と応じ、高橋はるみ知事が10年11月の道議会で水資源保護目的の条例をつくると表明した。
ただ、外資の土地取引に絞った規制は国際条約上難しい。外資が水資源目的に森林を買収したと認定できる事例も見つからなかった。そこで道は今年3月、国内資本を含めて土地取引の監視を強める条例を成立させた。
「私は水資源を守るために動いてます。国土が買われているのです」
小野寺氏は今夏、自民党の谷垣禎一総裁(当時)を帯広市に迎えた街頭演説会で訴えた。
後に続いたのが、元民主党衆院議員の上田清司・埼玉県知事だ。
昨年10月の県議会で自民党県議から北海道での森林買収について「取得者の多くは中国国籍」と指摘され、「本来は国が真剣に検討すべきだ」と答弁。その後、担当課の職員らを知事室に呼んだ。
「先手を打っていきたい」
条例はそれから半年足らずで成立。北海道より3日遅れだった。上田知事はブログに「外資による取得に制限がかかる」と書いた。
だが、県庁内には困惑もある。県内では外資の買収は一件も確認されず、規制地域は「秩父地方周辺の山間部の18市町村とざっくり決めた」(担当課)。ある職員は「条例で誰から何を守るのかよく分からなかった」と打ち明ける。
茨城県でも今年9月に議員提案で条例が成立した。自民党県連政調会長の白田信夫県議は「中国や韓国の資本に土地を取られたくない。尖閣諸島や竹島の問題も条例制定の契機になった」と取材に語ったが、県幹部は「県内では買収もなく、北海道と事情が違う。県議の手柄にはなった」と冷ややかだ。
■「国土守る」政界に警戒感
外資の森林買収への懸念は中央政界にも広がる。
民間シンクタンク「東京財団」が09年に発表した報告書がひとつの契機になった。中国資本が紀伊半島などで木材伐採を目的に買収を狙った事例を紹介し、「さらなる動機は水である。中国や日本ではペットボトルの水に対する需要が急速に伸び……」と指摘する内容だ。
自民党の高市早苗衆院議員も影響を受けた。10年に「日本の水源林を守る議員勉強会」を党内に立ち上げ、安倍晋三氏(現総裁)も呼びかけ人になった。休眠状態の「外国人土地法」を復活させて土地取得に規制をかけることも検討。今年4月施行の森林法改正につながり、森林取得者に事後届け出を義務づけることになった。高市氏は「山を守るためにも取得者を特定することは必要」と言う。
民主党も「外国人による土地取得に関するプロジェクトチーム(PT)」(座長・一川保夫元防衛相)を11年に設置。「安全保障、資源保全の視点から『重要な国土』を規定し、取得や利用規制の在り方について検討を行う必要がある」との中間報告をまとめた。
外資による森林買収への社会不安が高まる中で予防的に規制することを評価する専門家もいるが、森林ジャーナリストの田中淳夫氏は「外資が買収した面積は合計しても日本の森林全体から見ればわずか。しかも水資源狙いなら井戸を掘る敷地があれば十分だ。日本人所有でも森林の管理はひどい状態で、持ち主が外国籍であることを問題にするのはおかしい」と語る。
小熊英二慶大教授(歴史社会学)は「政治家は景気が悪くなると『守るべきものがある』といった排外主義的なスローガンに頼りがちになる。今は実効性のない条例でも、過熱すると危険だ」と指摘する。
■「買収、資産分散や別荘が目的」 北海道の業者
札幌から北東へ80キロ。北海道砂川市の森林292ヘクタールは09年11月、英領バージン諸島に籍を置く香港系企業に買われた。東京ドーム62個分に相当する広さだ。
市によると、一帯は91年に大阪の企業がリゾート地をつくるために買い上げたが、バブル崩壊で計画が頓挫した。そこに目を付けたのが香港系企業。売買に関わった日本の弁護士は「(買い主から)別の土地と交換したいと聞いた。目的は水ではなく、価値が上がると思って投資したのではないか」と言う。
外資による森林買収件数が全国の約7割を占める北海道ニセコ町周辺。数年前まで豪州人が別荘を買う事例が目立ったが、最近は香港系を中心にアジア資本の投資が集まる。
記者はこの一帯で有名な湧き水「甘露水」で5月、内モンゴルから観光に来た中国人十数人に出会った。案内人は不動産会社「北海道スタイル」(小樽市)の石井秀幸社長。観光で北海道を気に入ってもらい、不動産購入を勧める考えだ。中国富裕層と数億円規模の取引実績がある。「中国人は水に関心はあるが、買収目的は資産の分散や別荘」と話す。
北海道華僑華人連合会の幹部も「豪州に代わって中国資本が買収するようになって規制が始まったが、水資源目的で森林を買う中国人はいない」。
東京の不動産会社は中国語のホームページで「水資源」を前面に掲げ、北海道の森林約365ヘクタールを1ヘクタール当たり約50万円で売り出しているが、半年間で問い合わせは香港と台湾の2件だけという。
なぜ2回も?(1月2日の記事は前半のみ)【「国土」や「領土」を守る政治的姿勢が実態より先行している側面もある。】まで。


「中国による水資源買収に対しての警戒は政治的姿勢が実態より先行している」
「中国による水資源買収に対しての警戒は政治的姿勢が実態より先行している」
大事なことなので二回言いました♪
奪われる日本の森: 外資が水資源を狙っている (新潮文庫)
中国最大の弱点、それは水だ! 角川SSC新書 水ビジネスに賭ける日本の戦略 (角川SSC新書)
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北京辺りのダムは、カラカラだそうだ。
水暴動が始まってるらしいよ。
二度念押しで言うところが、バレるんだよ。