尖閣長期化 辛抱の海保 応援派遣 本来業務に懸念も
(読売新聞 2012/10/03)
尖闇諸島(沖縄県石垣市)の魚釣島など3島が国有化されてから3週間。周辺海域は「示威行動」を繰り返す中国監視船や、台湾漁船などによる領海侵入が相次ぎ、海上保安庁は全国の管区海上保安本部から巡視船艇をかき集め、厳戒態勢を敷いている。〝国境の海″で続くにらみ合いが長期化する中、海難救助や海上交通の安全確保など、同庁の他の重要業務への影響を心配する声も上がっている。
管区海上保安本部 第1管区から代1管区まで、全国11か所に設置されている。傘下には海上保安部、海上保安署があり、離島などでの領海警備や遠洋での海難救助などでは各部署を統括して対応に当たる。

■波状攻撃
「やはり戻ってきたか」。1日午後。中国の海洋監視船「海監」4隻が相次いで同諸島の接続水域(領海の外側約22キロ)に入ると、同庁幹部はこう嘆息した。2日には、同じ4隻が領海に侵入。漁業監視船「漁政」2隻も同水域に入った。
中国監視船が周辺海域に姿をみせたのは、9月11日の尖閣国有化から3日後。海監6隻が約7時間にわたって領海侵入し、同18日と同24日も侵入した。同25日は台湾漁船約40隻と台湾当局の巡視船12隻が続いた。
中台双方の船は同26日未明までには周辺海域から去ったが、台風17号の接近で海が荒れたためとみられ、同庁幹部は「事態に変化がない限り、中国監視船は今後も繰り返し来る」と語る。
■異例の布陣
尖闇諸島の領海警備は、那覇市の第11管区海上保安本部が担当している。同本部の巡視船は9隻。補給や点検などがあるため、常に全隻を投入できるわけではなく、中国監視船などへの対応には、全国から巡視船艇の応援派遣が不可欠だ。
巡視艇は小型で港湾の周辺などで使用されることが多く、同諸島周辺海域での長期戦にはヘリコプターが搭載可能な大型巡視船など様々な船艇が必要。
同庁が1度に展開できるのは約30隻で、常時20隻程度の応援がいる。東日本大震災では50隻超で対応したが、領海警備でここまで手厚い布陣は異例だ。
応援派遣が続く間、9月19日には、7管(北九州市)が長崎県沖で火災を起こした貨物船を救助、中国人船員ら12人を救出した。同24日未明に宮城県沖の太平洋上で漁船と貨物船が衝突した事故では、2管(塩釜市)が約900キロ沖に巡視船を派遣して行方不明者を捜索した。管区本部のある幹部は「海難救助などに影響はない」と強調するが、海保幹部は「同じ海域で救難事故が続けば、即座に対応できるか不安は残る」と語る。
■しわ寄せも
海保職員は全国で約1万2600人。警察や自衛隊と比べると規模は圧倒的に小さい。各管区本部では、残った人員で休日出勤を続けながらやりくりしているのが実情だ。
一方で、各管区本部のイベントなどでしわ寄せも出ている。これまで、1管(小樽市)、4管(名古屋市)で、一般公開の総合訓練や体験航海が縮小や中止になった。4管では、詳しい事情は伏せて中止に理解を求めたが、逆に「尖閣の応援をがんばって」などの激励が寄せられたという。
同庁幹部は、「応援派遣組も含め、現場の士気は極めて高いが、緊張が続くのはつらいはず」と気遣うが、別の管区本部幹部はこう強調した。「海保は中小企業のように歯を食いしばって頑張るのが伝統。何かあれば休日返上で頑張るだけだ」

| 海上保安庁の充実を図れ ~警視庁の予算よりも少ない海保の予算 (ネットアイビーニュース 2012/02/22) 日本政策研究センター研究員 濱口 和久 <警視庁の予算よりも少ない海保の予算> 国境の最前線で日本の海を守るために24時間365日、警備・警戒活動に当たっているのが海上保安庁の海上保安官たちである。平成23年(2011)度末現在、海上保安庁の定員は1万2,636人。そのうち巡視船艇・航空機などには5,961人の海上保安官が乗り組み、第一線で業務に従事している。 東京都の治安を守る警視庁の年間予算は6,484億円。人員は4万3,156人(平成22年4月1日現在)であることを考えると、世界第6位の447平方キロメートルの広さの海を守る海上保安官の人員の少なさには驚かされる。年間予算もわずか1,800億円程度しかない。この予算は東京消防庁規模でしかなく、海上自衛隊のイージス艦1隻の値段と同じである。ちなみに海上自衛隊の年間予算は1兆1,000億円、人員は4万5,000人である。 現在、海上保安庁は457隻の巡視船艇と73機の航空機を保有している。平成16年(2004)、世界最大の巡視船「しきしま」(7,175総トン、ヘリ2機搭載可能)が導入されたが、ほとんどの巡視船艇が昭和50年代に配備されたものが中心で、船体の腐食などによる老朽化・速力不足により、業務の遂行に支障をきたしている。航空機などに関しても就役から30年前後が経過しており、装備面でも深刻な問題を抱えているのが海上保安庁なのである。(略) <領海警備法の制定を> 海洋基本法ができた背景には、日本の海洋権益がすでに中国や韓国に侵害されているという経緯があった。しかし、海洋基本法には日本が有している海洋権益を活用して海洋国家として発展していく規定が明記されているだけで、日本の海洋権益が外国によって侵害された時の対処については何も規定されていない。いまだに日本の領海や排他的経済水域(EEZ)を守るための具体策は放置されたままなのである。 海上保安庁は現在、「領海侵犯罪」がないために領海侵犯に対しては、「漁業法」や「入管難民法」などで対処している。石川県能登半島沖の日本領海内に北朝鮮の不審船2隻が侵入した際には、漁業法違反容疑で追跡するという苦肉の策を強いられた。尖閣諸島沖での中国漁船の船長に対しては、公務執行妨害容疑での逮捕となった。 一方、海上自衛隊は防衛出動が発令されていない限り、海上保安庁と同じ海上警備行動しか取れない。仮に漁船に偽装した工作船に乗った中国人民解放軍の軍人が尖閣諸島に上陸した場合でも、明らかに外部からの武力攻撃と認定できなければ自衛隊は動けない。 このような行動を未然に防止するためにも新たに領海警備の任務を海上自衛隊に付与するべきである。 米国、英国、中国、ロシア、韓国などの国々ではすでに領海警備に関する体制も法整備も確立されている。日本は遅きに失した感はあるが今からでも遅くない。領海警備の法整備を行ない、海上保安庁と海上自衛隊の連携強化を図り、日本の海の安全と海洋権益を守る体制を構築するべきである。(略) |
海洋国家として海洋資源を守り・活かすため、海上保安庁と水産庁に関する法整備と予算確保は拡充して欲しいですね。
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MAMOR (マモル) 2012年 09月号 [雑誌]
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