(朝鮮日報 2014/01/12)

「韓国人がどれほど良い暮らしをしているか」
「南北がどれほど危険な状況にあるか」
「中国と日本がどれほど強い存在か」
1年たっても無神経・無知・無感覚…実像を超えた自信は単なる虚像
共同体を覆す勢力に断固たる対応を

金大中(キム・デジュン)顧問

 2013年の最初のコラムで、私は「韓国人だけが知らない三つのこと」に言及した。「第一に、韓国人は自分たちがどれほど良い暮らしをしているか知らないらしい。第二に、韓国人は自分たちがどれほど危険な対立状況(対北朝鮮)に置かれているか知らないらしい。そして韓国人は、隣国の中国と日本がどれほど強く、恐ろしい存在かを知らないらしい」という3点だった。

 あれから1年が過ぎた2013年の末、その三つの「知らないこと」が韓国人の無神経、無知、無感覚の壁を越え、韓国人の目前に現実となって現れ、韓国人に警鐘を鳴らしている。韓国人は、無視したり意図的になおざりにしていたという罪(?)により、罰を受けているのだ。

 第一の警鐘は、鉄道労組のストライキだ。平均年俸6300万ウォン(約627万円)の労働者が、韓国国民の「足」を人質に取って始めたストは、ついに政治闘争へと変質しつつある。もともとストとは、腹をすかせた人々、良い待遇を受けられない人々の生存ゲームだ。ところが今のストは、豊かに暮らしている人々、腹いっぱい食える人々の闘争に発展した。韓国社会はどこもかしこも利己主義だらけで、集団利己主義は機会主義者の政争に悪用されている。今や、現政権下で民営化には着手できなくなった。見方によっては、労組が勝ったわけだ。韓国人は、自分たちが割と良い暮らしができる国に生きているのに、そのことを忘れて暮らしているうちにいきなり後頭部を殴られたわけだ。

 北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)政権は戦争突発を思わせるような威嚇を繰り返しているが、その脅しは次第に強硬さを増してきている。それでも父の勢力ほど時代錯誤的ではない-と期待されていた金正恩政権は、張成沢(チャン・ソンテク)氏の処刑を皮切りに、恐怖政治の狂気を噴出させている。今では公然と「戦争は予告なしに起こる」と豪語し、韓国攻撃に向けて総力を挙げている。現在韓半島(朝鮮半島)では、どんな小さなひずみ一つでも直ちに戦争に結び付きかねない、危険な瞬間が毎日続いている。それは、南北間の経済力の差、軍事力の格差とは関係ないことだ。

 加えて、北朝鮮のイデオロギーに追従する諸勢力の韓国での活動も、その濃度を高め、頻度も増した。野党・統合進歩党国会議員の李石基(イ・ソッキ)氏による革命組織(RO)事件、統合進歩党の解散請求などがその端的な例だ。韓国社会の一部では、韓国社会の長所として多様性を挙げ、それらの勢力がまるで「存在可能な反対」であるかのように容認し、それをごまかしている。しかし、韓国の暮らしの形やその根本的なよりどころを変えようとすること、すなわち体制転覆は、多様性のカテゴリーには含まれない。

 日本と中国は「助けてくれる隣人」から、互いの垣根を越えて相手を圧倒しようとする「危険な隣人」へと変質しつつある。安倍首相が率いる日本は、今や韓国の懸念や忠告など気にも留めず、第2次大戦前の日本へ回帰しようとするかのような亡霊にとらわれている。習近平国家主席の中国もまた、中華主義と覇権主義を掲げ「君臨する中国」を加速させている。

 韓国は一時、中日両国の間で「バランサー」の役割を買って出たこともあり(盧武鉉〈ノ・ムヒョン〉政権時代)、アジアの中心国を目指したこともあった(李明博〈イ・ミョンバク〉政権時代)。途方もない話だ。韓国は両国で笑い物扱いされたらしい。最も重要な時期に、最も適切な位置にある済州島に海軍基地一つまともに作ることができず、内輪の泥仕合に終始している韓国を見て、両国は内心韓国をさぞや見下したことだろう。

 結論から言うと、韓国は豊かで、故に北朝鮮のことなど心配する必要はなく、さらには北東アジアでバランサー役を務められる-という自信は虚像でしかない。

 問題は、韓国人が自らを実像以上に捉え、韓国がこの程度でも大層な世界的国家になれるかのような甘い考えを抱いてきたところにある
。

 韓国は今、大変な「内部の戦争」に巻き込まれている。それは、反対や意見対立の問題ではない。それは、憎悪と呪いの対立だ。そこには論理もなく、説得の余地もない。ただひたすら「お前は嫌いだ」「お前とは同じ空の下で暮らせない」という、恨みの感情しかない。それが意思疎通不足の問題だという人もいるが、今になってみれば、意思疎通以前の問題だともいえる。

 このままでは何も成し遂げられない。17兆ウォン(約1兆6900億円)の負債を抱えている鉄道を改革しようというのに、野党や左派、親北・従北(北朝鮮に追従する)勢力が連携し、民営化反対にとどまらず政権退陣を訴え始めるのは、合法的政権を転覆させようとするたくらみと変わらない。→対スパイ組織の国家情報院(国情院)に足かせを付けようとする野党側の意図は不純だ。政府の方針に反対するのなら、選挙時に審判を受ければよい。状況は次第に、単なるストやデモだけでは済まなくなるだろう。反対派は、公然と政権退陣を大声で訴え始めるはずだ。全国民主労働組合総連盟(民労総)などの意図が、民営化や第2鉄道への反対にあるわけではない以上、国民はこの闘争にはっきりと線を引き、民労総などの意図を冷徹に審判すべきだ。韓国という共同体を守るということは、この共同体を揺るがし、覆そうとする勢力を、国民一般と切り離すということだ。今の韓国にとにかく必要なのは、最低限の愛国心だ。


こうした意見が「いつも通り黙殺」されなくなったら怖いですね。



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