【取材日記】「菅首相談話」わざわざ誤訳した韓国外交部
(中央日報 2010/08/12) 


  10日、菅直人日本首相の談話文が配布されたのは午前11時ごろだった。

  そのころ、韓国外交通商部と駐日大使館も「ハングル翻訳文」を記者たちに回した。ところで翻訳本を見た瞬間びっくりした。日本語原文には「朝鮮王室儀軌などの図書をお渡しする」となっているのに韓国外交部の翻訳本は「返還」と遁甲させたのだった。「引き渡す」と「返還」は厳然に違う。返還は奪ったことを認めて返すことであり、引き渡しは自分の所有権や品物を渡してやることをいう。菅首相が「法律的問題はすでに解決されたという観点で(返還ではなく)引き渡しだという表現を使った」と強調したこともその違いを明確にするためだった。 

  もっと大きな問題は翻訳上の間違いではない意図的な誤訳だという点だ。

 11日、外交部関係者に経緯を問うと「引き渡し」という表現を翻訳文に使いたくなかった。韓国の主張を込め“返還”とわざわざ使った」と述べた。気持ちは十分に理解する。朝鮮王室図書を返還されることを望み、どの韓国民が渡してもらうことを望むか。しかし使われた用語が気に入らないと言って他の国の首相の談話を気持ちに合わせて変えて翻訳していいのか。むしろ正確な表記を通じて日本政府がどんな考えを持っているかを国民にそのまま知らせるのが理ではないか。そうして非難することは非難すればいい。

  もう1つ、朝鮮王室儀軌返還問題取材のために日本の政治家や関係者たちに会う度に共通して聞かれたことがある。「韓国政府に“搬出文化財のリストを提示してほしい”と要請すると“整理されたものはない”と言われるが、それは事実なのか」と言うのだ。文化財庁関係者に確認すると「実際にそうだ」と言う。一歩遅れて昨年からデータベース化に取り掛かったが、植民地時代に強制的に搬出された資料が何件あるのか、どこにあるのか把握できていないというのだ。情けないことだ。

  菅首相談話後、国内では日本の宮内庁図書だけではなく国立図書館など日本政府内のすべての朝鮮図書が返って来るという期待が噴出しているようだ。しかし冷静に見たとき、このままなら日本が提示するものを返してもらうほかない。興奮した心を沈め、1日でも早く実態把握に出ることが優先だ。




【コラム】「渡す」と「返す」の違い
(朝鮮日報 2010/08/12)

 日本政府が日韓強制併合100年に際し閣議決定・発表した首相談話のうち、目を引いたのは、やはり「朝鮮王室儀軌(ぎき)」など日本政府が保管している略奪図書を返すと述べている部分だ。違法に奪っていった文化財を返すことは、日本が謝罪と反省を行動で示すという象徴的な意味を持つ。ところが、この「返す」ことに対する、首相談話の日本語原文の表現は引っ掛かる。本来なら「返還」と言うべきだが、原文では「お渡ししたい」という表現になっている。外交部関係者は「日本政府が韓国政府に渡した韓国語訳では『返還』となっている」と話す。日本は、国内向けには「渡す」と言っておきながら、韓国に対しては「返す」と言ったのだ。

 文化財返還という話に喜びながらも、一見大したことではなさそうな言葉の問題を持ち出したのは、ここに日本国内の韓国文化財に対する見方が表れていると思ったからだ。

 菅直人首相は談話発表後、「渡す」という表現を使った理由について、「請求権など法的なものは完全に解決済みとの立場で、『お渡しをする』という表現を使った」と説明した。「請求権問題は1965年の韓日基本条約で終わったから、今回のことは韓国国民の要求とは関係なく、日本が両国関係のために思い切ってすること」というニュアンスなのだ。だが、果たして実際にそうなのだろうか。菅首相の論理通りなら、65年の時点でも、日本は韓国の文化財を返し「返還」という表現を使うべきだった。しかし、当時も韓日基本条約に付随する「文化財及び文化協力に関する日本国と大韓民国との間の協定」で日本が使った言葉は「引き渡す」だった。

 日本政府はこれまで2回、韓国を植民地として統治していた時代に略奪した文化財を返した。だが、その際にいずれも「返還」という言葉を使っていない。

 1回目は、1953年の「久保田発言」(第3次韓日会談で久保田貫一郎・日本側首席代表が発言した植民地支配肯定論)により足踏み状態に陥っていた韓日国交正常化交渉の突破口を開くためだった。この時、用いられた言葉は「贈与」だった。返還方針が取りざたされると、日本の外務省関係者は議会で「政府はそれを返還するという法的根拠は認めない。だが、韓国の独立に伴い、それに対する一種の贈り物として好意によりいくらか贈与するもの」と述べた。65年には「『引き渡す』という言葉の意味は、奪ったものを義務として返還するということではなく、こちらの気持ちとしては始終一貫『寄贈する』という意味」とも言っている。

 つまり、日本は自国内の韓国文化財について、「他人の物を奪ってきた」「だから持ち主に返さなければならない」と考えたことが一度もないのだ。その時、その時の政治的必要性により、当初は「贈り物」と言っていたのが、その次は「寄贈」となり、今回「渡す」に至ったのだ。

 日韓強制併合100年に当たる今年、今回だけでも「返還」という言葉を使っていたら、首相談話の意味はまた違っていただろう。だが残念なことに、そこで過ちを犯すのが日本だ。そうした具合だから、日本政府の「渡す」という言葉に「どこまでそうするのか」と疑いの目を韓国人が向けるのも当然だ。『朝鮮王室儀軌』だけで終わるのではないか、『帝室図書』や『経筵(けいえん)』など宮内庁が保管している図書はすべて含まれるのか、「日本政府が保管している(中略)図書」と言ったのだから、東京大学や京都大学といった国立大学にあるものなども含まれるべきではないのだろうか…といった疑問も浮かぶ。

 菅首相は「歴史の事実を直視する勇気とそれを受け止める謙虚さを持ち、自らの過ちを省みることに率直でありたい」と言った。「勇気」も「謙虚」も「率直」も、いい言葉ばかりだ。しかし「渡す」という言葉のように、端々にその本音が見え隠れするから、謝罪の真剣さに疑問がわいてくるのだ。



韓国三大紙である中央日報も朝鮮日報も、「外交部(外務省)関係者」の話としていますが、どちらが本当なんでしょうかね?

『返還』と翻訳したのは、菅政権の岡田外相率いる外務省 or 韓国外交部?






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