【から(韓)くに便り】 黒田勝弘

 このところ日本と韓国がともに出席する国際会議が相次いでいる。トルコでのG20首脳会議、フィリピンでのAPEC首脳会議、マレーシアでのASEANプラス日中韓の首脳会議でいずれも安倍晋三首相と朴槿恵(パク・クネ)大統領がそろって出席している。

 2人が同時に写った韓国マスコミの写真には2種類ある。1つはお互い視線をあらぬ方向に向けているのと、もう1つは笑顔で向き合ったり、手を差し伸べているものだ。笑顔の写真の方が多いから、マスコミ次元では両国関係は好転しつつあるという判断のようだ。

 先のソウルでの日中韓3カ国首脳会談の際の日韓首脳会談で風向きが変わったというところか。マスコミ論評を含め韓国世論の大勢は、朴大統領が安倍首相との首脳会談を3年近くにわたって拒否してきて「得たモノは何かあるのか?」という感じで、日本に対するその“意地っ張り外交”には批判的な声が多いが。

 ところで国際会議の場で隣り合わせになる両首脳の姿を見ながら思い出したことがある。

 韓国の国名の英語表記である「KOREA」のことだ。韓国では以前からこの表記に疑問を呈する声がある。これだと日本の「JAPAN」に比べアルファベットの順番ではJがKより前になるため、国際舞台の席順は日本の後になるからだ。

 いつも日本が気になり、何かと日本と比べることが好きな韓国人にはこれがシャク(癪)のタネだ。

 そこで出てきたのがフランス語やスペイン語、イタリア語などラテン系で使われている「COREA」に変えようではないかというアイデアだ。

 事実、ラテン系が強かった時代の古地図はCOREAになっている。英語系が強くなった19世紀以降、英語のKOREAを使うようになり今にいたるが、COREAの「C」にすればJAPANの「J」より前だから、順番は日本の前になって気分がいいというわけだ。

 いつまでも「日本離れできない韓国」の切ない鬱憤だが、国名表記の変更となると対外的に大ごとだから簡単にはいかない。なかば笑い話的に時おり話題になるだけだ。

 最近、このことが在韓日本人の間で酒飲み話になった。そこでは「COREAにした場合、今度はCHINA(中国)のすぐ後になるがいいのかな」「いや、現在の対中接近外交を見ているとそれこそ居心地がいいのではないのか」という皮肉まじりのオチになった。

 韓国にとって日本と隣り合わせた方がいいのか、中国と隣り合わせた方がいいのか。その気分は朴大統領に聞いてみなければ分からないが、韓国の識者たちによると、少なくとも国際舞台では日本と隣り合わせの方が気分的には楽だろうという。

 JとKの順番はともかく、国際舞台での日韓の首脳の風景を見ているとお互い引っ越しできない相手だなと実感する。「国際関係で唯一、変わらないのは地理的環境」といわれる。とすると何とかうまく付き合うしかない。(ソウル駐在客員論説委員)


昔の名前(「Korea」は「高麗」が語源)をいじくって自尊心(?)を満たすより、現在の国号は大韓民国(Daehan Minguk テハンミングク)なので、「Daehan」または「Han」(韓:ハン)と呼んでほしいと言うほうが、今さらとはいえ、まだ説得力がありそうですが、そういった主張は聞かないですね。