(中央日報 2016/01/19)

「もしきょう新たな中東呼吸器症候群(MERS)患者が入国するならどうなるかわかりません。感染病を防ぐ実務ラインが完全に崩壊した状態ですから」。

14日に監査院のMERS事態関連監査結果発表後に保健福祉部の公務員Aさんは記者にこのように訴えた。

監査院の監査で疾病管理本部の本部長をはじめ感染病管理センター長ら局長2人、疫学調査課長を含む主務課長2人など関係者9人が解任、降格、停職など重懲戒を受けることになった
。海外感染病を監視し有事の際には拡散を防がなければならない実務ラインが焦土化した格好だ。

昨年MERSの防疫失敗で186人が感染し、このうち38人が死亡した。数カ月にわたり国民が不安に震え萎縮した日常を過ごした。彼らが最善を尽くして公務を遂行したとしても悲劇的な結果がともなった以上、痛恨の反省が必要だ。そうした側面から責任者を選び出して懲戒することは避けられない。

だが最も責任が重い席にあった文亨杓(ムン・ヒョンピョ)前保健福祉部長官は懲戒を免れた。文前長官はMERS防疫失敗を導いた敗将ではないのか。彼は昨年6月7日にMERS患者が訪れた病院の名前を公開する直前までも「病院情報を公開する根拠はない」として反対した。

それでも監査院は「長官の指示に実務者が従わず、実務者が長官にしっかりと報告しなかった」として文前長官に免罪符を与えた。保健所の7級主事補に対しては「2年前に受け取ったMERS広報物を配布しなかった」という理由で懲戒意見を出した監査院の厳正なものさしが文前長官だけ避けて通ったのだ。このように監査院が実務者だけ叩いている間に韓国の防疫網は路地から茶の間まで穴が開いてしまうことになった。

2カ月にわたり空席の仁川(インチョン)空港検疫所長(1級)のポストは今回の懲戒手続きが終わるまで埋めるのは難しい状況だ。1級公務員3人が懲戒対象になり、所長のポストに送る人がいなくなった。残りの実務ラインも相当期間の空席が予想される。

人事革新処が懲戒委員会を開き懲戒の有無を決めるまで今後最小2~3カ月がかかる。その過程で重懲戒者などは待機発令(職位解除)状態で業務を見られなくなる。一時的な空席であり他の人を座らせることもできない。すぐ下の部下職員が「職務代行」を務める。

もし当事者が懲戒水準に納得できず請願審査・行政訴訟など異議を提起する場合には結論が出るまで数年がかかることもある。監査院は懲戒をするにしてもこうした現実を考慮すべきだった。MERSは現在進行形だ。

監査院が調査を始めた昨年9月10日以降これまで韓国に入ってきたMERS疑い患者は52人を数える
。


韓国の一般職国家公務員は1級から9級

 1級:日本の次官級に相当
 2級:日本の局長級に相当
 3級:日本の審議官に相当
 4級:日本の課長に相当
 5級:日本の課長補佐(事務官)に相当(日本の国家公務員総合職(旧Ⅰ種)に相当)
 6級:日本の主査に相当
 7級:(日本の国家公務員一般職(旧Ⅱ種)に相当)
 8級:
 9級:(日本の国家公務員一般職(旧Ⅲ種)に相当)


>文亨杓(ムン・ヒョンピョ)前保健福祉部長官は懲戒を免れた。
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2015年06月03日


週刊ニューズウィーク日本版 「特集:韓国の病 MERS騒動という悲劇」〈2015年 6/23号〉 [雑誌]
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