(朝鮮日報 2018/01/18)

「あまりに腹が立つ。選手たちが政府と北朝鮮の横暴のせいで犠牲になってしまう」

 平昌冬季五輪への北朝鮮の参加をめぐり、韓国政府が女子アイスホッケーの南北合同チーム編成や北朝鮮東部の馬息嶺スキー場での南北合同合宿などの方針を表明したことに対し、韓国の20-30代の若者層が強く反発している。

 就職準備中のイ・ソンミンさん
(24)=仮名=は「女子アイスホッケーの選手たちの状況は、まるで今の私と同じだ。一生懸命に努力してやっと面接でたどりついたのに、コネ入社が決まっている人と一緒に面接を受けろと言っているようなものではないか」と怒りをぶちまけた。また、20代の大学生は「南北問題や理念という話以前に、政府の決定は不公正だ」と話した。

 18日、20-30代に人気のあるインターネットの各種掲示板は政府に対する非難の声であふれた。文在寅(ムン・ジェイン)大統領の熱心な支持者だという20代のネットユーザーは「統一チームの結成は公正でも正当でもない」と書き込んだ。別のネットユーザーは「いったいなぜ北朝鮮と統一チームを結成するのか。延坪島砲撃や哨戒艦『天安』爆沈の件で謝罪すらしてないではないか」と憤った。

 ソウル大など主要大学の掲示板にも「北朝鮮の住民が飢え死にしている中で金正恩(キム・ジョンウン)がスキーリゾートを造ったというのであざ笑っていたが、そこで合同練習をするとは」「あまりに非現実的な発表で、内容を何度も確認した」「腹が立って、ろうそくを持ちたい(反対集会を開きたい)気分だ」などの書き込みが相次いだ。「どう考えても韓国側が得することなど何もないのに、なぜ若い選手たちに犠牲を強いるのか」との不満も噴出した。

 韓国の20-30代は過去最悪の就職難と受験戦争を経験し、常に競争に追い立てられてきた。理念よりも不公正さや権力の横暴に強く反応する。

 高麗大学統一外交学科の南成旭(ナム・ソンウク)教授は「哨戒艦爆沈や延坪島砲撃、軍事境界線付近での木箱地雷事件など北朝鮮の挑発を目の当たりにして育った20-30代は、北朝鮮に期待するという幻想を抱いていない」とした上で「今回の政府の決定は実利もなければ公正性・合理性もないと考えて怒っている」と指摘した。


こうした反応に政府・与党は↓

(朝鮮日報 2018/01/18)

 平昌冬季五輪をめぐる韓国・北朝鮮の合意に対し、韓国の20-30代が強く反発し、韓国大統領府(青瓦台)と与党が戸惑いを見せている。与党の関係者は「予想できなかったことだ」として「若者層の不満の原因を読み解いている」と述べた。その上で「今後きちんと説明すれば、否定的な世論は落ち着くのではないか」との見方を示した。

 20-30代は文在寅(ムン・ジェイン)政権を支える中心的な支持層だ。世論調査機関「韓国ギャロップ」が9-11日に行った調査では、文大統領の国政運営について「よくやっている」との答えが20代で81%、30代では89%に達した。全体の支持率(73%)を大きく上回る数字だ。そのため、今回の南北合意も20-30代が積極的に支持するものと与党は期待していた。しかし、南北合同チーム結成に関しては、20-30代の反対が約82%で、全世代の中で反対の割合が最も高かった。与党が全く予想していなかった結果だ。

 青瓦台の関係者は「インターネットの世論をずっとチェックしている」とした上で「女子アイスホッケーチームに北朝鮮選手は少数しか加わらないため、チームの戦力は変わらないという点を政府がきちんと説明する予定」と述べた。

 与党「共に民主党」の関係者は「若者層が(保守政権の)10年間でまともな統一教育を受けられず、韓半島旗(統一旗)や南北合同チームの意味をよく分かっていないようだ」と話した。さらに「北朝鮮の参加者たちの来韓を機に、冷え込んでいた南北関係が改善されれば世論も変わる可能性がある」と期待感を示した。20-30代の否定的世論が全体の多数派ではないため、大統領の支持率にさほど影響を及ぼさないと見ているわけだ。

 しかし、1980年代に大学生活を送っていたような政権中枢部が、南北問題を十数年前の視点で捉えていることに疑問を呈する声もある。20-30代の北朝鮮観は昔の世代とは完全に異なっているのに、文政権の中心メンバーたちは依然として80-90年代の思考回路で止まっているというわけだ。

 西江大の金英秀(キム・ヨンス)教授は「実利を重視する若者層は、現政権の対北政策について『自分たちのものを色々提供した揚げ句、さらに引きずり回されている』という印象を受けているようだ」と指摘した。