(中央日報 2019/09/19)

イ・ヒョンサン/論説委員

  日本の経済報復措置によって触発された日本製品不買運動が2カ月を超えた。序盤だけ勢いがあり尻つぼみになっていたこれまでの不買運動とは違い、熱気が長く続いている。これにはネットユーザーを中心とした市民の自発的な参加、依然として改善しない韓日両国関係などが複合的に作用している。しかし不買運動が長期化するにつれて、あちこちで影も濃くなっている。日本の「経済挑発」に対する国民の「応戦意志」を確認したという意味はあるが、意図せず被害を受けている国民も続出している。

◆雇用の脅威を受ける「われわれ国民」

  秋夕(チュソク、中秋)連休直前の10日午後に訪れたユニクロ明洞(ミョンドン)中央店は閑散とした雰囲気だった。明洞中央店は韓国内187店舗のうち最も規模が大きな、いわゆる「フラッグシップストア」だ。4階からなる各階には6~7人の客が見えたが、韓国語を話す人々ではなかった。ただ、1階の片隅では友人同士とみられる韓国人50代女性3人が品物を見ていた。店舗関係者は「普段は外国人と韓国人の顧客の比重が半々程度だが、最近になっては韓国人が20%もいないようだ」とし「不買運動がいつまで続くのか心配」と話した。

  ユニクロ関係者は一つ一つのコメントに慎重だった。不買運動の序盤、日本本社のCFO(最高財務責任者)が「(不買運動による影響は)長期継続するとは考えていない」と話して逆風が吹いた「悪夢」のためだ。会社は正確な売り上げ状況を明らかにしていないが、ファッション業界やカード業界では不買運動以降、70%ほど減少したという分析も出している。ユニクロ韓国事業を運営するFRLコリア側は「売り上げ減少のためにまだ事業調整に入る段階ではないが、不買運動が長期化する場合、戦略的変化が避けられないこともある」として緊張している様子が歴然としている。

  FRLコリアが採用した職員数は5400人余りだ。このうち70%程度がショップのアルバイトなど非正規職だ。同社は政府から雇用関連の賞を何度も受賞した。毎年2度の審査を経て非正規職を正規職に昇級させ、2年契約期間が終わった非正規職は90%近く正規職に切り替える人事政策が良い評価を受けた。採用する時に性別・年齢・学歴で差別しないという人事方針も一役買った。会社関係者は「迫るオンシーズンになれば店舗職員の新規採用を進めなければならないが、今としては決定を下すのが難しい状況」と話した。契約期間が終わろうとする非正規職の転換問題も負担にならざるをえない。不買運動が続く場合、若手職員の雇用と将来が脅かされかねないということだ。

◆「日本旅行しない」、日本だけ打撃?

  日本旅行自制の雰囲気は秋夕連休にも続いた。仁川(インチョン)国際空港公社によると、秋夕連休の11~15日の5日間、仁川空港を通じて日本に向かうか日本から国内に入ってきた旅行客数は一日平均2万5230人で昨年秋夕(3万5573人)より29.1%減少した。特に日本に出発した旅行客数は一日平均1万2140人で、昨年(1万9929人)に比べて39.1%も減った。

  ある日本専門旅行会社代表に会って旅行業界の雰囲気を聞いてみた。オーダーメード型旅行商品を主に販売する「ブライトスプーン」のキム・ヨンギュン代表。彼は席に座るなりため息をついた。

  --どれくらい顧客が減ったか。

  「日本旅行客の減少幅は統計上20~30%として出ているが、旅行会社が体感している程度ははるかに高い。個人旅行はそれでも少しは行くが、旅行会社を利用する団体客は80~90%減った。グループの中で1人でも『今、日本に旅行に行くのはちょっとね』と言い出せば、全員取り消してしまう」

  --このような状況がいつまで行きそうなのか。

  「序盤は雰囲気が和らげばまた行くというお客さんが多かった。ところがGSOMIA(軍事情報包括保護協定)破棄などで韓日関係回復の兆しが見えなくなると予約がぷっつり切れた。今は日本以外の地域の商品を開発して活路を探っている」

  キム代表は日本旅行に行かない運動が日本に実際に影響を及ぼすという見解については懐疑的だった。キム代表は「日本は数年前、『2020年観光客2000万人誘致』を目標に掲げたが、すでに昨年3130万人を誘致した」とし「東京・大阪など主な地域の宿泊施設はすでに飽和状態」と伝えた。

九州など一部の地方を除いては、韓国人の日本旅行ボイコット運動が日本全体では大きな問題になりえないということだ。

日本旅行の自制が韓国経済や日本国内の韓国人に及ぼす打撃も無視することはできない。代表的な例が対馬島だ。対馬訪問客の95%に達した韓国人の足が途切れて島の雰囲気が閑散としている。夏休みシーズンには1日3000人以上訪れた韓国人観光客は200人台に減った。釜山(プサン)から対馬厳原港に向かう4隻の船便は先月19日以降すべて中断され、釜山~対馬比田勝港路線だけ船舶会社2社が隔日制で交代で運航している。その被害は対馬住民だけのものだろうか。キム代表は「最近、対馬に新たにできた宿泊施設・食堂・免税店・釣具店の大部分が韓国人が投資した施設だが、これらの被害がこの上なく大きい」と話した。実際、対馬に事業や就職のために進出した韓国人は200人余りに達する。韓国人の対馬の土地購入比率も0.26%を越えたという統計もある。

  厳しさに直面した格安航空会社(LCC)も同じだ。韓国と日本を往復するLCC9社のうち、日本ANA系列のピーチを除けばすべて韓国籍だ。これらLCCは売り上げの30%、利益の50%を日本路線からあげていたが、日本旅行客の急減を受けて危機を迎えている。国籍航空会社8社が8~9月の間に運航を中断した日本路線は21本に達する。このうち14本の路線が釜山・大邱(テグ)・清州(チョンジュ)・務安(ムアン)のような地方空港発路線だった。

◆媽媽虎患よりこわい「親日レッテル」

  企業はひょっとして「親日」のレッテルを貼られるのではないだろうかとまさに緊張モードだ。ある企業広報関係者は「イシューそのものが超理性的領域であるだけに、積極的な対応をすればするほどネットユーザーの袋叩きにあいかねず慎重にならざるをえない」とし「少しでも親日イメージがつく可能性がある事業はとにかく保留している」と話した。

  このような雰囲気の中で流れ弾に当たる中小企業も生まれている。最近、野生草成分を利用した保湿剤を開発した中小化粧品メーカーA社の場合だ。クラウドファンディングを通じてパイロット製品の可能性を確認したこの企業の社長は、本格的な発売のためにある大型流通業会社と供給交渉を行った。順調だった交渉は突然大型流通業社から「一旦保留」通知を受けて壁にぶつかった。この化粧品のOEM(注文者商標付着方式)メーカーである韓国コルマーが不買運動の対象になり保身を図ったのだ。A社の社長は「良い品質という評価を受けて期待を膨らませたが、韓日問題のために事業に支障が出るとは想像もしなかった」と話した。

  根拠のないうわさやフェイクニュースのために戦々恐々とする企業も続出している。焼酎「チョウムチョロム」を販売するロッテ酒類はオンライン上で「日本のアサヒがロッテ酒類の株式を有している」といううわさが飛び交った。会社側はホームページに「全く事実ではない」と公示して、「鏡月焼酎」から出発した製品の歴史をまとめた印刷物や横断幕まで製作して主要な商圏に配置した。

  不買運動は日本に実質的な打撃になりえるのだろうか。韓国が日本から輸入する物品ほとんどは、材料・部品・装備のような資本財で、消費財の比重は6%程度だ。関税庁によると、日本製消費財の輸入は前年同期比7月-13.8%、8月-2.8%を記録した。減少した輸入額をすべて不買運動の影響に換算しても、不買運動が日本の対韓輸出に及ぼした影響はわずか0.2~0.8%ということだ。

  仁荷(インハ)大学消費者学科のイ・ウンヒ教授は「不買運動が怒りと愛国心を表現できても、実質的な解決策とみるのは難しい」とし「かえって不買運動で被害を受ける韓国人職員、自営業者、求職者などの被害や苦痛も考えてみなければならない」と話した。外交から始まった問題は、結局外交で解決しなければならない。そうでなければ経済がいわれのない費用を払うことになる。


韓国内で不買運動をすれば最も影響を受けるのは韓国人ということをやっと気づいたんですね。


[商品価格に関しましては、リンクが作成された時点と現時点で情報が変更されている場合がございます。]

るるぶ温泉&宿 九州(2020年版)【電子書籍】
価格:960円(税別、送料別)(2019/9/19時点)