[日韓の現場]文大統領の実像<4>対北融和 素地に望郷の念 対話通し相互理解 自信
(読売新聞 2020/02/14)
韓国の文在寅(ムンジェイン)大統領の元外交ブレーンは、文氏が釜山で弁護士として活動していた頃、友人らにこう漏らしたことを伝え聞いた。
「南北統一したら父の故郷で弁護士をするのが夢だ」
元ブレーンは、「父親の故郷に対する望郷意識のようなものだろう」と推し量る。
両親は、朝鮮戦争のさなかの1950年12月、北朝鮮咸鏡南道興南(ハムギョンナムドフンナム)(現「咸興(ハムフン)市の南西部)から韓国に逃れてきた。北朝鮮に残った親族とは、離ればなれになった。

文氏は盧武鉉(ノムヒョン)政権で市民社会首席秘書官をしていた2004年7月11日、北朝鮮の金剛山(クムガンサン)で行われた南北離散家族の再会に実母とともに参加し、親族と顔を合わせた。実母が昨年に死去する前、「母と興南を訪れることができれば望外の幸せだ」とテレビ番組で語ったこともあった。北朝鮮の地に、特別な思いを抱いていることは間違いない。
03年に盧武鉉政権が発足すると、文氏は政府高官として、北朝鮮との交渉に関わるようになる。
盧氏と北朝鮮の金正日(キムジョンイル)総書記は07年10月、平壌で会談し、緊張緩和のための共同宣言を発表した。文氏は、大統領府ナンバー2の大統領秘書室長として北と向き合った。
文正仁(ムンジョンイン)大統領統一外交安保特別補佐官は「(文在寅氏は)南北首脳会談に取り組んだ経験から、北朝鮮とは対話を通じて信頼を築けると考えている」と語る。
ただ両親の郷里だという思いだけで、北と友好的なわけではない。高官としての実体験から、北を交渉相手として信頼するに至ったようだ。
北朝鮮外務省の金桂官(キムケグァン)顧問は1月11日の談話で、韓国が米朝の仲裁者の役割を果たそうとしていることを「差し出がましい」と非難した。罵倒ともいえる言葉を投げかけられたにもかかわらず、文大統領は3日後の新年記者会見で、南北の和解は「遠い未来を見渡しながらするものだ。南北間でできる最大限の協力をする必要がある」と、忍耐強く対話を続ける考えを強調した。
まず北朝鮮の体制を認めて平和共存し、経済協力を進めないと非核化にはたどり着けない――というのが、文政権の基本姿勢だ。
文氏の融和政策に対しては、国内の保守派勢力から疑問の声が出ている。北朝鮮の非核化や拉致問題の解決に向け、対北圧力を重視する日米両国との間では摩擦が生じている。
しかし、文政権からすれば、北朝鮮を信用しない勢力こそが、南北和解を妨げていると見えるようだ。
金鉉宗(キムヒョンジョン)大統領府国家安保室第2次長は昨年8月2日の記者会見で、対北圧力を重視する日本政府の姿勢について、「(朝鮮半島の)平和プロセスの障害を作り出した」と公然と非難した。
文氏は民主化運動を経験したことから、朴正煕(パクチョンヒ)、全斗煥(チョンドゥファン)の両軍事政権が、自らの独裁と民主化運動の弾圧を正当化するため、北の脅威を利用してきたとみなしている。側近や左派の支持者らも、文氏の考えに同調している。
4月15日の国会総選挙を前に、文氏は側近を巡る疑惑や検察との対立を抱え、政権を巡る情勢は厳しい。総選挙で与党・共に民主党が敗北すれば、2022年5月の任期満了を前に、レームダック(死に体)化する公算が大きい。


文も北朝鮮は良い所と言うが帰らない
specificasia
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