(朝日新聞 2020/03/13)

 新型コロナウイルス感染症対策の一環で、日本政府が韓国からの入国を大幅に制限した措置をめぐり、日韓の主張が対立している。今回の措置で日本は「事前に通報した」とする一方、韓国は「一方的に発表した」と批判。両政府のすれ違いはなぜ起きたのか。

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 「我が国の考え方や措置の内容は外交ルートで韓国側に事前通報を行い、発表後も丁寧に説明した」。菅義偉官房長官は9日の記者会見で、こう強調した。

 安倍晋三首相が新型コロナウイルス感染症対策本部で、中国、韓国からの入国者の2週間待機などの入国制限措置を表明したのは、5日午後7時ごろ。日本外務省幹部によると、その約2時間半前、外務省側から在日韓国大使館の担当公使に電話し、事前通報を行ったとしている。

 一方、韓国側は入国制限強化の発表後から繰り返し「事前通報はなかった」と反発。6日には、日本人に認めている査証(ビザ)免除措置(90日以内)の停止などを発表し、事実上の対抗措置に踏み切った。

 ただ、10日の大統領府の会見では「安倍首相がメディア発表する前後になって(日本側は)強化措置の可能性を伝えてきたが、査証免除停止や14日間の待機要請など具体的な内容はなかった」とも言及。

何らかの形で事前に日本側から連絡があったものの、具体的でなかったため「事前通報」とは認められない、との考え方のようだ
。

 日本外務省によると、事前通報は中国側にもほぼ同時に行われた。

中国政府は「健康と生命を守るための適度な措置は誰もが理解できる」(中国外務省の趙立堅副報道局長)と述べるなど、冷静な受け止めだ。

 韓国側はこうした中国の対応ぶりにもいぶかる。日本政府が入国制限の強化を表明する直前の5日午後、日中両国は中国の習近平国家主席の国賓訪日延期を発表。韓国政府関係者は「中国側とは事前の調整が行われていたのだろう」と語る。

 大統領府に近い関係者は、輸出規制強化のこともあって韓国側には元々日本側への不信感があったうえ、「新型コロナウイルスの感染者数の急増がようやく韓国内で落ち着いてきた矢先で、4月に総選挙を控えるタイミングでもあるだけに強い姿勢に出ざるをえないのだろう」とみている。(太田成美、ソウル=神谷毅)

2020年03月10日