(朝日新聞 2002/11/13)
会社員 柳智成さん (東京都千代田区 32歳)
朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)によって人生を狂わされた被害者の方々は、できることならすぐにでも北朝鮮に行って、子供たちに真実を語ったほうがいいと私は思う。
事実を知った子供たちの衝撃は計り知れない。しかしそれをしないと何も始まらない。あなたたちは親じゃないですか。だれが代わりになれるのですか。国家ですか、政治家ですか、それとも「救う会」ですか。
私は16歳の時、突然親から「お前は本当は韓国にルーツを持つ朝鮮人だ。区役所に行って外国人登録証明書を作るように」と言われた。祖父が日本に強制運行されたことも初めて聞いた。その「宣告」から16年、日本人と朝鮮人をちょうど半分ずつ生きてきた。いま私は、ダブルのルーツを意識することで何とかバランスを維持している。
子供にとって、よりどころとなるのは家族しかいない。被害者の方々は、日本への帰国をはっきり宣言した上で、外務省関係者の同伴つきで一度戻った方がいい。日朝の駆け引きのはざまで翻弄されるだけでなく、果敢に向かっていってほしい。

【とめよう排外主義と戦争への道!「らち問題に関する新聞投稿記事 (朝日新聞「声」欄)から考える」】
8年後……
『声』 もっと簡易な帰化制度望む
(朝日新聞 2010/01/25)
会社員 柳 智成 (川崎市多摩区 40)
永住外国人に地方参政椙を付与する法案についての反対意見が一部に根強くある。僕の祖父母は80年前に日本の植民地支配による朝鮮での生活苦から渡日した。そして2世の両親が日本で生まれ、3世の僕も、4世の娘も、この日本で生を受けた。日本語を母語とし、日本の文化を自らのアイデンティティーとして育った僕らは、いまだに、そして永遠に、外国人でよそ者だ。
僕の祖父母のような、歴史的経緯のある永住外国人や定住外国人の子孫には、地方参政権付与などその場しのぎの政策ではなく、日本国籍を取得する権利にこそ、深く踏み込んで論議してほしい。現在1年近くかかる手続きを、例えば書類一枚で認められるような、国籍を取得したい人にとって簡易な帰化制度に変えていただきたい。現状では精神的なハードルが高すぎる。
日本は、勇気をもって多民族国家への道を歩み、「日本国民」の枠組みを大きくしていただきたい。それこそが在日韓国・朝鮮人に対する歴史的謝罪であり、責任の一つの取り方である。


| 在日一世の記憶 小熊 英二 姜尚中 | 在日・強制連行の神話 鄭 大均 |


