(朝鮮日報 2020/03/25)

○専門家ら「非効率的」警告も政府が一日1200人と予想し準備…人員不足で隔離できず
○あわてて「無症状者は後で検査」

 韓国政府は22日、ヨーロッパからの入国者全員に対して入国時に新型コロナウイルス検査を開始したが、その二日後に無症状で入国した韓国人に対しては一度帰宅後、三日以内に検査をするというやり方に変えた。検査人員が不足して検査が遅れたり、待機施設が不足して空港を抜け出した入国者が後に陽性と分かったりするなどの問題が浮上しているため、慌てて検査方針を変更したものだ。

 これは、中央防疫対策本部が24日、「午後2時よりヨーロッパからの入国者のうち、症状がない韓国人は自宅近くの保健所で三日以内に検査を受けるようにする」と発表したものだ。

22日午前0時に全数検査を開始した時は、新型コロナウイルス感染が疑われる症状があれば空港内検疫所で、症状がない入国者は入国審査を終えた後、研修院などの隔離施設に移動した上で検査を受けることになっていた。

 ヨーロッパからの入国者に対する全数検査が始まると、空港内外でさまざまな問題が起きた。ヨーロッパからの一日入国者数を1200-1300人と予想して待機施設を設けたが、22日のヨーロッパからの入国者数は1444人だった。空港では、感染が疑われる有症状者が1つのスペースに長時間入り交じって待機したケースもあった。空港で検査を受けたフランス帰りの留学生2人は隔離施設に滞在せず、検疫当局の同意の下、親の車に乗って江原道原州市内の自宅に戻った後、陽性と判定されるという事態も発生した。

 このような問題が浮上したため、丁世均(チョン・セギュン)首相は24日午前、担当者をしっ責したという。丁世均首相は同日の中央災難(災害)安全対策本部の会議でも、「この二日間、ヨーロッパからの入国者を検査する過程は円滑でなかった。我々の防疫能力が堪えうる現実的な改善案づくりが必要だ」と指摘した。

 こうした状況のため、中央防疫対策本部は急きょ修正した検査方針を発表し、「入国者が増えて疑い例も増えているのに備え、検疫を効率的にするためのものだ」と説明した。しかし、医療関係者の間からは「専門家らの懸念を無視していたのに、首相がしっ責するや、拙速な代案を出した」という声が上がっている。マ・サンヒョク慶尚南道医師会感染症対策委員長は「全数検査そのものが非効率的であり、国内で必要な防疫資源を消費するため、義務者が隔離対象を拡大し、感染が疑われる人のみを検査する方向で行くべきだ」と言った。

 最近海外から入国して感染が分かった人の中には、空港検疫や全数検査では確認されず、入国した少し後に陽性判定が出るケースが少なくない。検疫や入国後検査では無症状の感染者をより分けられないという限界が明らかになっているのだ。23日に確認された、海外から入国した感染者27人のうちの5人も入国後、国内滞在中に感染が確認されたケースだ。ある感染症専門家は「政府は専門家の意見を無視して右往左往していながら、自ら『防疫模範国』と自画自賛するのは、国民の協力や医療関係者の献身を横取りするものだ」と語った。


(中央日報 2020/03/25)

欧州と米国で新型コロナウイルス感染症(新型肺炎)の感染者が急増する中でも、入国禁止なしで逆流入を遮断するという韓国政府の構想が、開始早々、限界を表わした。欧州発入国者全員に対する即時隔離および検査方針を変えながらだ。

中央防疫対策本部は24日、「欧州から入ってくる内国人の無症状者は自宅隔離をしながら管轄保健所で入国後3日以内に検査する予定」と明らかにした。これに先立ち、政府は22日から欧州発入国者全員を別途施設に移して新型コロナの検査を実施することにした。疑い症状を示しているなら、空港検疫所内の隔離観察施設で診断検査を受け、無症状者は指定臨時生活施設に移動して待機した後に検査を受ける流れにした。だが、実施からわずか2日で原則を変えた。

ここには、欧州発入国者のうち有症状者が1割前後という高い割合で確認され、彼らを集中管理する方向に検疫体系を調整するべきだという保健当局の判断が根底にある。特に、欧州からの入国者が毎日約1000人にのぼる中、22日基準の無症状者臨時生活施設8カ所の受容可能人員は合計1175人となっている。有症状者も多いのに、無症状者まで全員受け入れるにはスペースが不足している。

これを巡り、最初から政府の状況予測が安易だったという指摘が出ている。結局、逆流入につながりかねない欧州発入国者の規模に、政府が自負する現在の「民主的・開放的対応」だけでは対応しきれない点が浮き彫りになった。

欧州と米国の状況をみると、新型コロナ逆流入はすでに現実として受け入れなければならない段階とみることができる。米国内の感染者は24日4万6000人を超え、死亡者も600人に迫った(以下、ジョンズ・ホプキンス大の集計に準拠)。イタリアでは感染者が6万人以上となる中、6000人以上が命を失った。

政府は依然として国境開放の原則を守っている。中国武漢以外に、政府が入国禁止措置を取った場所は1カ所もない。韓国が新型コロナの避難所になるかもしれないという懸念が出ている理由だ。

政府は欧州と米国発旅行客に対して入国制限をしない根拠の一つに、入国者の大部分が韓国国籍者という点を上げている。外交部によると、イタリアから韓国への帰国を希望している韓国人は約650人で、まず今月31日と翌月1日にミラノに先発としてチャーター第1便を飛ばす計画だ。イタリア以外にイラン、ペルー、エクアドル、フィリピンなどでも多数の海外同胞と韓国人が本国への帰国を希望しているものと把握された。

一部の国家はウイルスは国籍に関係ないという基調の下、内国人の入国まで制限する「セルフ封鎖」をしているが、自国民の入国は止めないのが通常的でもある。だが、韓国の扉は韓国国籍者だけでなく外国人にも同じように開いているというのが問題だ。特に、韓国は外国人治療費も国費で支援している。外交部によると、23日基準で8941人が韓国に入ってきた。このうち韓国人が7057人、外国人が1884人という。

政府は「入国を遮断する無粋な政策よりは民主的で自由主義に立った合理的かつ理性的な海外流入防止政策を展開する」〔権ジュン郁(クォン・ジュンウク)中央防疫対策本部副本部長、23日会見〕という立場に変わりはない。外交部当局者は24日、「韓国政府は一貫して、世界保健機関(WHO)の勧告によって移動制限を最小化するべきだという立場」としながら「無条件に国境を遮断するのは、患者にメスを直ちに入れるようなことであり、がんを治療する時、標的治療をするような方法を使うためのもの」と説明した。

だが、このようなアプローチは「あえて韓国ががん病棟になるべき理由が何なのか」という反論にもつながりうる。今月20日基準で、世界66カ国がWHOの勧告を無視したまますべての外国人の入国を遮断している。新型コロナの発源地である中国でさえも、全方向的な入国制限措置を優先的に取りながら内部の制限を解いている。中国は湖北省に対する封鎖は25日午前0時から解除し、武漢の封鎖は4月8日から解除する方針を固めた。

外交部は23日に一歩遅れて世界を対象に旅行警報レベル2~3に該当する「旅行特別注意警報」を出したが、韓国から出て行って帰ってくることだけを遮断する部分的な予防効果しかない。また入ってくる扉を開いておきながら、出て行く扉は閉じることなので、政府が一貫して主張してきた国境開放原則からも外れる。

欧州発入国者に対しては全数検査をするが、米国発旅行客は特別入国手続きにより発熱チェックと健康状態質問書の提出、自宅診断アプリケーション(アプリ)の設置案内を受けて入国できるようにしたことも公平性に欠ける。米国は重要な同盟である上に、米国が韓国発旅行客を遮断していないことから韓国も米国に入国禁止を加えにくいという相互主義論理も出ているが、同じように米国の同盟国である日本とオーストラリアはこれとは関係なく米国発旅行客を制限している。

結局、政府が事態の初期に中国発旅行客の入国を遮断せずに掲げた「国境開放」の原則が今になって自分の首を絞めているとみる余地がある。いま該当の原則を翻意すれば、当初中国に対して入国禁止をしなかったことは誤りだったと認めるざるをえなくなるためだ。事態の初期に中国発旅行客の入国を禁止した台湾は感染者数が200人余りで、香港も400人を下回る。


2020年03月24日